詩歌と気象 西行と桜7

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桜と満月 7

『桜が創った「日本」』を読むと、現代の桜のイメージはソメイヨシノが作ったもので明治以前は違っていたとの事です。勿論その事は承知していたのですが、吉野のヤマザクラ以外では開花時期は全てソメイヨシノの情報しかなく、これを地域の開花の標準と考えました。

八王子の高尾の多摩森林科学園には約250種類の桜を移植したサクラ保存林があり、そのパンフレットによると花の見頃は(「サクラ保存林での調査結果によります」と注があります)
ヤマザクラ群
 ヤマザクラ(山桜)4月上旬
 オオヤマザクラ(大山桜)4月上旬~中旬 オオシマザクラ(大島桜)4月上旬~中旬
 カスミザクラ(霞桜)4月中旬
エドヒガン群
 エドヒガン(江戸彼岸)4月上旬
マメザクラ群
 マメザクラ(豆桜)4月上旬
カンヒザクラ群
 カンヒザクラ4月上旬~中旬
里桜(栽培品種)
 ソメイヨシノ(染井吉野)4月上旬
 ナラノヤエザク(奈良八重桜)4月下旬
とあります。

野性種は個体間格差が大きく、パラパラと長く鑑賞出来たそうで、また今の品種が千年前も同じ形質だったかどうかは不明です。

これを考慮に入れても西行の桜と満月の歌は京都の可能性が大きいと言えます。

又、桜が創った「日本」には西行がみちのくの平泉で歌った
聞きもせず束稲山の桜花吉野の外にかかるべしとは
は「いくつか候補は考えられるが一番有力なのはカスミザクラ」と
山形市での歌
又の年の三月に出羽の国に越えてたきの山と申す山寺に侍りけるに、桜の常よりも薄紅の色こき花にてなみたてりけるを寺の人々も見興じければ
たぐひなき思ひいではの桜かな薄紅の花のにほひは
「色と場所からみて、これはオオヤマザクラだろう」と書いてありました。

参考文献
独立行政法人森林総合研究所多摩森林科学園「四季を楽しむ…多摩森林科学園 見学のしおり」

『桜が創った「日本」』佐藤俊樹著岩波新書

写真は、多摩森林科学園の桜の標本

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